梅雨前後は各地でオキメバル好調の報が伝わるが、今回紹介する秋田沖は「桁違いの釣果」「抜群の食味」を誇る超A級ポイント。魚探に映し出される小山のような反応に我が目を疑い、派手なアタリに心が躍る。鈎数連なる30〜40cm級に思わずため息を付くも、大型クーラー満杯の釣果が「まあまあ」と言われて拍子抜け。口から脂の塊を吐き出す魚に食の期待が高まり、口に運んで「これがオキメバルか?」と魚への認識が一変…昨年7月の初釣行では全てが斬新に感じられた。
秋田沖では厳寒期を除くほぼ周年オキメバル釣りが可能だが、サイズ・数共に揃うベストシーズンは6月〜7月と9〜10月。 8月も喰いは変わらないが、「サメに奪い喰われて数が伸びない」。 80Lクーラーが満杯(60尾前後)では「まあまあ」、トップ100尾以上で初めて「今日は良かった」のコメントは正に「桁外れ」だが、朝から3時間半流しっぱなし、投入毎に空振りなし、にも恐れ入る。
ポイントは水深150m前後が中心。秋田県平沢港から航程2時間の範囲内にそれこそ無数のポイントをマークしている「飛龍」の佐藤登咲船長はその時々「ベスト」と目されるポイントに案内してくれる。
アベレージサイズは30〜40cm。30cm級の「太目」の魚が大型よりも美味だ。ゲストフィッシュはポイントにも依るが、マゾイ、ホッケ、アカムツ、小型のマダラなど。極稀だが良型のアラが混じる事もある。  




  

 日本海の沖メバルは3.6mのロングロッドを使用するケースが多いが、「飛龍」は新潟地区等に比べると小型の為、ロングロッドは竿先が海中に没してしまう。オキメバルに適合するアクションが出ていれば2.7mでも充分。
使用錘は250号だが、ロッド表示に対してやや過負荷気味にして復原力を抑え、巻上時の口切れを防ぐ。
アクションパワー270ZL、300ZLがお勧めロッドだ。


  

ポイントの水深は150m前後なのでラインは400mで充分だが、30〜40cm級が一度に10〜15尾鈎掛りするケースも珍しくないため、リールはコマンドX4HPをセレクト。ニューディープセンサー、又はニューディープセンサーブラックの6号を巻く。 「下巻アダプター」をセットすれば経済的。


  

  幹糸8号70?p間隔、ハリス4号30cm、藤井商会のフジッシャーオキメバルバケ14号10〜15本の胴突仕掛。
予備も含め5〜6組用意したい。完成品「藤井商会フジッシャーオキメバル仕掛」も有り。
水温により喰うバケの色が異なるが、低水温は赤・ピンク、高水温はブルー・グリーンが良く、周年安定しているのは紫系。
仕掛上端には「ヨリトリフィン三角型」か「キャラマンライト」を配す。但し、ホッケが多い場合、発光体は逆効果。


  

  ホタルイカを壺抜きし、ワタ付きゲソの眉間の部分に鈎を刺す。冷凍1パックが¥500位で地元釣具店にて購入可能。一日3〜4パック必要。

実釣レポート
  「今年は遅れ気味ですよ。いつもならトップが100,200と釣る時期ですけどね」佐藤登咲船長が苦笑する。 一週間続いた「梅雨の晴れ間」が終わり、投入前から小雨そぼ降る秋田市沖。
魚探には小山のような反応が映し出されているが、果たして。 水深150mに着底後、真っ先に竿先が揺さぶられたのは艫の釣人。
その後も席順にアタリが出て、舳先に座る筆者の竿先がシグナルを伝えたのは投入と同じく船中最後。
ガクガクと竿先を揺さぶる激しいアタリが次々追い喰いする事で鈍重な負荷に変わればシメた物だが、追い喰いは有るものの、竿を押さえ込む重量感までには至らず、巻上の合図を聞く。 艫は10尾を連ねたが、前側は3〜4尾と差が出た。筆者も4尾ながら、35cmオーバーの良型に40cmのマゾイ(キツネメバル)が混じったのが救いか。
左舷はアタリが無く、正に釣り座による明暗クッキリ。
常連氏によれば「日により右舷・左舷の釣果差が顕著」との事だが、これは釣場に着いてみなければ判断できず、前後に関しても同様に潮向き次第で、正に「時の運」。
ベストポジションと同等の釣果をマークする事は不可能だが、底ダチの取り直し(イコール誘い)や手返し・仕掛のマメなチェック・交換など、自身の努力で如何にアタリの少ない「ハンデ」を克服し、自ら納得の行く釣りが出来るか否かが重要だろう。
2投目以降は船中ポツリポツリの状況。アタリが無い釣人も目立つ。 筆者も何とかアタリは有る物の、単発で追い喰いが無い。水温が低めと言う事で当初はピンク系バケ主体の仕掛をセレクトしたが、喰って来るのは紫が入っているバケのみ。
8時、思い切ってオール紫系に変更した途端、間を飛び越して派手なアタリが我が竿を叩く。竿先の動きを見ながら錘を海底に付け、追い喰いを促すと次々とアタリ。バケのチェンジが効を奏したか。 鋭さは重さに変わり、やっとオキメバルらしい展開に。頃合を見て巻きに掛かると、竿先が海面に付くほど絞られ、船が上がった時には巻上が滞る。
カウンターが000になり、覗き込んだ海面下には一つ、二つ、三つ…ズラリと魚影が連なって見えるが…ちょっと色気が違う。 25〜30cmの「ガヤ」ことエゾメバルが6尾に良型ウスメバルが2尾。「全部ウスメバルならもっと良いのに」と贅沢?を言いつつも、取り敢えずは笑顔。続く投入も全く同様に8尾が連なる。
この後再びポツリポツリに戻り、今日はこのまま終了かと思われたが、ポイントを南寄りに移した昼過ぎ、遂に全員のロッドが立て続けにガタガタと揺さぶられる「真骨頂」シーンが展開された。 この流しは多数のウスメバルに混じって30〜45cmのマゾイが船中12本も上がるこの日のハイライト。
この後も納竿まで順調に喰い続き、全員が土産を手にする事が叶う。 25〜40cmのウスメバル21尾に32〜42cmのマゾイ4尾、25〜30cmのエゾメバル15尾にホッケ混じりが筆者の釣果。数だけ見ると「今イチ」だが、個人的には取材の合間に不利な釣座で叩き出した「納得」の内容だ。 終日本降りの雨に祟られた秋田沖だったが、艫側はクーラー満杯(70尾以上)の釣果に、晴れやかな笑顔がこぼれた。
関東に住む我々には「大漁」と言っても差し支えないこの日も、艫以外数が伸びなかった事が船長には不満が残った様子。 全く口を使わなかった流しも含め、魚探には常に小山の如き反応が常に映し出されていたのだから、船長曰く「水温が低くて魚が口を使わない」のは確かだろう。逆にこの反応が高活性だったら一体どうなってしまうのか?正に「日本海恐るべし」を改めて実感した次第。 「高級魚」マゾイはもちろんだが、口から脂の塊を吐き出すウスメバルは相変わらずの極上美味。
早くも「また来年」の声が同行者から上がっている。



船宿
飛龍 秋田県平沢港
?п@090-3122-6552
オキメバル乗合 ¥12,000
 電気釣り(アジ・ヒラメ・マダイ・ワラサなどの夜釣り)も受付。
トップシーズン週末の乗船はキャンセル待ち状態。
平日の釣行がお勧め。

バケ・仕掛の問合せ
  藤井商会 ?п@090-8001-4151