関東の沖釣師なら必ずや耳にしたことがあるであろう"沖の瀬"。
三浦半島先端の城ヶ島と伊豆大島の中間辺りに位置し、周囲1000メートル以上の深海から最浅部54メートルまでにそびえ立つ海底の山はオニカサゴやオキメバルからキンメ、アコウ、ムツなど浅〜深場の根魚をはじめ、四季折々の魚の着場となっており、正に関東の一級ポイント。
 沖の瀬でクロムツを狙う場合、乗合船は水深100〜250メートルダチで30〜40センチ、0.5〜1キロサイズを狙うのが一般的だが、仕立船ならボウズ覚悟の一発狙いで300〜500メートルの深場で3〜5キロ級の大型を狙うことができる。  



  

 オモリは300号を使用する。前号釣行記でも紹介した『パワーファイター』の200-Mが私の愛用ロッドだ。


  

 私の使用リールはクラス最高のドラグ性能を誇る『コマンドX6』。巻上げ途中に突然襲いかかる大ムツ独特の抵抗にも滑らかにドラグが利き、"粘りアクション"の『パワーファイター』との組み合わせはどんな大ムツでも浮かせてくれる。
 道糸PE8号を800メートル。タチウオモドキ、クロシビカマス、ミズウオ等、道糸を噛み切る魚も回遊しているので、『ミヤニューディープセンサー・ブラック』のように黒染めの道糸使用をお薦めする。

  

 幹糸22号2.5メートル間隔、ハリス16号1.4メートル、ハリはムツ20号でハリ数は5本、オモリは300号を使用する。
道糸と仕掛けの接続部には『キャラマンリングI型』を介す。
仕掛けの回転から生じるヨリが道糸に伝わることを防止するパーツは深場釣りでは必需品。『ヨリトリチェーン6X5号』も併せて接続すればヨリ取り効果は更に向上する。

  

 イカ、サバの切身、シコイワシなどを使用するが、冷凍や塩漬けにしたものではなく、出来るだけ新鮮なものを使用することがポイント。できることなら、最初にサバやイカを釣り、それを切って付けることがベスト。



 梅雨明け日となった8月2日、2名の釣友と共に一路沖の瀬へ向かった。
 冷凍エサも用意してきたが、先ずは新鮮なエサを確保ということでサバとスルメイカを釣りから。1時間ほどでサバ、スルメイカを10尾ずつ確保。 本命狙いは水深280メートルからスタート。仕掛けは5本バリといえどもハリス1.5メートルもあるロング仕掛けなので、投入は『胴突き仕掛け枠』を用いて行う。 黒潮の接近により潮が速く、オモリ着底後も仕掛けがすぐに浮き上ってしまい道糸がどんどん出ていき、苦戦を強いられる潮況。 最初のアタリは5流し目。350メートルダチで強いアタリに竿が叩かれたが、これは本命ではなく3キロ級のメダイだった。
その後西側に移動。潮は相変わらず速いが、それでも1キロ級のキンメが5枚掛けで上がったりと、にわかに釣況が上向いてきた。 「潮が緩くなったぞ」と、船長はすかさず500メートルダチの深場に船を回す。潮が緩くなったといっても、着底には600メートル以上も道糸が出てから。底のトレースもわずかな感触を見逃してしまえば底が分からなくなってしまうほどだ。 ゴン、ゴンッ。アタリだ。『コマンドX6』の巻上げスピードを最スローにして巻上げボタンを押す。
 波で船が持ち上がった時はドラグが滑りスプールの回転が止まり、船が下がった時にだけジリジリと道糸を巻き取るようにドラグを緩めに設定し、ムツ釣りの基本、「アタリ後は少しずつ巻き上げて追い食いを狙う」を電動リールで行う。
 頃合見計らってドラグを締め込み、巻上げスピードも中速にアップ。途中、何度も強い抵抗があるものの、『コマンドX6』の滑らかなドラグと『パワーファイター』の粘りのアクションが難なく交わしてくれる。
 巻上げが残り少なくなるに従って道糸が沖に流れていく。巻上げが止まり、キャラマンリングを掴んだところで前方海面に褐色の魚体が3本浮上した。 「デカイッ!」小さいものでも2.8キロ、大きいものは3.6キロもある。東京湾口沖の釣り場でこんな大ムツが、しかも3本掛けで浮上してくるとは正に夢のようだ。
 その後は、再び潮が速くなり、キンメすら型を見ることができぬまま沖揚がりとなったが、興奮収まらず翌3日も再び沖の瀬に繰り出した。
 潮は相変わらず速く、キンメがポツポツ当たる流しが続いたが、昨日同様、潮変わりの一瞬を衝いての流しで昨日釣ったサイズより更に大きな3.7キロと4.1キロの大ムツを2本掛けで浮上!同時ヒットで釣友も3キロ弱級をゲット。
 ボウズ当たり前の釣りで両日とも大ムツの型を見ることができ、なんと幸運な2日間。深場釣りとしては最悪の潮況下にもかかわらず夢を叶えてくれたベテラン船長にただ、ただ感謝!



長井荒崎港 なんや丸

046−856−4365

仕立て制
深場根魚狙いは4人迄の
基本料金40,000円、
1人増し10,000円(氷付き)

※深場釣りの場合はタックル、
仕掛けなど全て持参が条件